深い森に抱きかかえられるようにひっそりと息づく御手洗池。
赤倉神社境内の一画にあることから「赤倉神社のお池」とも呼ばれています。
また、聖武天皇の皇太子の眼病治療に使われたという
言い伝えがあることから、霊泉としても広く知られ、
昭和60年には、環境省の選ぶ全国の名水百選に選定されました。
水底がはっきり見えるほどの透明度を誇る御手洗池。
普段はとても穏やかな水面ですが、
実はちょっと怖い伝説も残されています。
戦国時代、戦に敗れた武将が愛馬と一緒に
入水自害した底なし池と言われており、
言い伝えによると、元旦の未明にだけ赤い鞍が浮き上がったそう。
そのことから、赤鞍(赤倉)という土地の名前が生まれました。
悠久の年月を枯れることなく湧き続ける豊かな水は、
適度なミネラル成分を含み、
お茶用の飲料水としても利用されています。
また、周辺の水田約20ヘクタールの灌漑用水としても
使われており、その水量は一日600トンとも言われています。
鏡のような池の水面に神秘的な森が映り込むと、
まるで印象派の絵画を見ているかのような美しい光景が広がります。
新緑に萌える木々の中で目をつぶり新鮮な空気を吸い込めば、
マイナスイオンに包まれて心も体もリラックス。
癒しの時間が訪れます。
池の周辺の山道は、苔やシダ類に覆われて鬱蒼としています。
一帯はひんやりと涼しく、真夏でも冷気を感じるほど。
小径の脇の斜面を覗いてみると、
さまざまな種類のキノコがひょっこりと顔を出しており、
キノコ狩りをする地元の方の姿も見られます。
飛び石を渡って池の水を触ってみると、ひんやりと冷たくて気持ち良い。
御手洗池の水温は、年間を通して15〜18度。
ちなみに、池には藻類が繁殖しているため、
そのまま飲料水としては利用できません。
水を飲む際には、十分に煮沸してから飲むようにしてくださいね。
辺りは静寂そのもの。
目をつぶって耳を澄ますと、
四方からカエルの鳴き声や鳥のさえずりが降り注いできます。
どこか神秘的な御手洗池は、
秘境のオアシスのように自然の生命力に溢れた場所。
ここでは人間の存在がちっぽけに感じてしまいます。
樹海のように木々が覆い茂るこの場所は、「赤蔵山憩いの森」の一部。
起源を奈良時代にまで遡る
赤倉神社を中心とした歴史遊歩道になっています。
幾多の伝説が残る歴史ある場所だけあって、
神社の近くにある榊は、樹齢300年を超えるそう。
赤いアーチが印象的な「お池橋」。
御手洗池に降りていく入口付近にあります。
御手洗池を含む「赤蔵山憩いの森」は、
標高179mの赤蔵山一帯に広がるレクリエーションエリアで、
ハイキングコース、展望台、公園など、
さまざまな散策スポットが点在しています。
虫よけアプリは効かなかったが、そんな事が気にならない程神秘的な池。凛として静まり返った光景は、なぜか言葉数を減らし昔からつづく時を感じさせる。