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「きもの処 凛屋」四代目

若林 啓さん(わかばやし さとるさん)

http://www.kd-rinya.com/

七尾は日本有数の“呉服どころ”として知られ、人口あたりの小売店数は日本一ともいわれています。
そんな激戦区で、明治より続く老舗を切り盛りする「きもの処 凛屋」の若社長・若林啓さん。
経営者として、厳しい不況の時代をいかに生き抜くか。
多田健太郎と熱いトークで盛り上がりました!

呉服業界が抱える3つの悩み、どう解決する?

加賀友禅の伝統を持つ石川県の呉服業界。最盛期の90年代初頭には、友禅作家が長者番付に名前を連ねるなど、県を代表する産業のひとつでしたが、ここ20年間で生産額が激減。そんな不況に加え、七尾の呉服業界は今、「着物離れ」「少子高齢化」「過疎化」という3つの問題に悩まされているのだとか。地方の産業には少なからずこういった問題がつきものですが、かなり苦しい時代に突入しているといわざるを得ません。

しかし、就任1年目の若社長は、数々のアイデアで苦境に対峙。その代表的な取り組みが「デザイン」です。

「呉服屋というのは、着物を『仕入れる』『販売する』『仕立てる』というのが基本的な仕事になります。デザイン、すなわち『作る』という部分に関しては、これまで専門の作家さんや職人さんの領域でした。しかし、デザインから手がけることができれば、オーダーから販売までワンストップで行えます。また、着物という枠を越え、グッズやインテリアにも加賀友禅のデザインを応用することができる。こうして、日々呉服の新たな可能性を模索しています」

デザインは場所を問わないため、七尾にいながら世界へ発信することだってできます。これこそが、3つの悩みに対する有効な解決手段になり得るとか。呉服屋さんの概念を飛び出す若林さんの仕事から、目が離せません。

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ゼロから始めたデザインの“プロジェクトX”

自らデザイン業務を手がけることで呉服の新たな可能性を模索している若林さんですが、その道のりは決して平坦なものではなかったとか。大学を卒業後、京友禅の作家に弟子入りし、デザインの基礎を学んだ若林さん。しかし、工程が細かく、それぞれの専門家による分業体制で作り上げる加賀友禅にあって、自分のデザインを形にすることは想像以上の難しさだったといいます。

「最初は小売業者である私のデザインなど、誰も相手にしてくれませんでした。いくらデザインを起こしても、それを友禅の型にしてくれる職人さんがいなければ先へ進めません。まずはこうした“仲間集め”に時間がかかりました」

デザイナーとして実績を重ねつつ、職人さんとも粘り強く交渉を続ける日々。そんななかで、多田屋でもアメニティグッズ(売店の紙袋やハブラシの袋など)のデザインを手がけていただきました。

「あれは今の礎となる仕事でした。こうして実績と交渉を重ね、ようやく集めることができた仲間たちで『意匠 凛』というデザインチームを結成。ときに職人さんに無理なお願いをしながら、加賀友禅の可能性を模索しています(笑)」

持ち前のデザインセンスと行動力が実を結び、金沢の有名フレンチレストラン「ジャルダン ポール・ボキューズ」の内装を一部デザインしたり、ドラマ『花嫁のれん』にデザインを提供したりと、どんどん活躍の場を広げる若林さん。まるで“プロジェクトX”さながらの展開に、同じ能登の若手として大いに刺激を受けています。

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デザインの基本は“コミュニケーション”にあり?

以前テレビで、とある着物作家のドキュメンタリーを見たことがあります。その作家は男性の方でしたが、「理想の着物とは?」という質問に対し、「思わず脱がせたくなるようなものですね」と回答。いわく、着物は女性を美しく見せるものであり、脱がせたくなるということは、それが理想的なあり方だということ。作家として、そんな着物を作りたいのだとか。

「とても興味深い考え方ですね。私としては、お客様が“自分で作った”と思えるような着物が理想です。デザインするということは、要望をうかがうところから始まり、やり取りを重ね、完成して納品するところまでお客様とのおつき合いが続きます。つまり私の仕事は、自分の作品を売るというのではなく、お客様の要望を具現化するお手伝いをすることなんですね」

着物を「作る」ところから始める。これはきっと、お客さんと真剣に向き合わなければできないことなのだと思います。しっかりとコミュニケーションを重ねた結果、お客さんが着物に対して“自分で作った”という感覚を持ってくれる。若林さんは、ここに代え難い喜びを感じるそうです。

現在、多田屋でも浴衣をリニューアルすべく、若林さんと一緒にデザインを考えています。私たちにとっても、宿泊してくださるお客様と真剣に向き合う作業だと実感しています。

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目指すは、さかなクンならぬ“きものクン”!?

「私がデザインをすることに関して、父は一貫して賛成してくれていたのですが、女将である母にはずっと反対されていました。それが、実績を重ね、ようやく認めてもらえたようで(笑)。従来の呉服屋稼業も守りつつ、デザインにも力を入れていく。そう思えたことで、お店を仕切っていく覚悟が固まりました」

デザインを始め、より着物づくりに本腰が入ったという若林さん。2011年からは父親の跡を継ぎ、4代目社長として「きもの処 凛屋」を牽引しています。そして最近は、さらなる意識の変化が芽生えつつあるのだとか。

「結局、着物づくりに本気で取り組むことは、加賀友禅の伝統を持つ能登で本気で暮らしていくということと同義なんだと気づきました。私は大学のときに一度ここを出た人間ですが、能登が好きで帰ってきた。この土地の素晴らしさをもっともっと知り、それを着物づくりに反映させていく。そういう態度でないと、着物の本質には到達できないんだと思います」

仕事や生活に対する若社長の取り組みは、とことんマジメです。

「四六時中、着物のことを考える。着物のことなら何でも答えられる。そう、目指すはさかなクンならぬ“きものクン”ですね(笑)」

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“プレイ”の精神で、ローカルを楽しむ

呉服屋のご主人である若林さんは、“牛若丸スタイル”ともいうべき独特な和装がトレードマークになっています。裾をキュッと絞り込んだ袴を着こなすその姿は、同性の目にもカッコよく映ります。そんな若林さんのスタイルですが、実はここに、能登の暮らしを楽しむヒントが隠されているのだとか。

「着物を身にまとうと、凛とした気分になるじゃないですか。これってある意味コスプレだと思うんですよ。外見や行動を変えることで気分に変化をもたらすことを“プレイ”と呼びますが、地方で楽しく暮らすためには、こういった遊び心が必要だと思います。都会は黙っていても楽しめますが、都会に比べ何もないこの町では、自分から楽しみを見つけないといけませんからね」

このように、若林さんは日常にちょっとした演出を加えることで、楽しい暮らしを実践しているそうです。

「例えば銭湯を『湯屋』、喫茶店を『茶屋』なんて呼んでみると、そこに行く自分が落語の登場人物みたいに思えてくるじゃないですか。近所のスナックへ行くときなんかも、私はわざわざ『中へ行く』なんて言っています。ちなみに『中』とは落語で『遊郭』を意味する言葉。まあ、ただのスナックなんですが、こんな風に呼んでみると、ちょっと楽しそうに感じませんか(笑)」

自分から楽しみを見つけに行く──。常に前向きな挑戦をし続けているところが、若林さんの魅力なのかもしれません。

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テンションが上がるとついつい声が大きくなると言う啓君。彼の話は本当に多岐に渡って面白いので、着物の事じゃなくても良いので一度声を掛けてみてください。これからが楽しみな能登の宝です。

多田 健太郎

多田 健太郎
多田屋6代目若旦那

若林さんプロフィール

若林啓さんプロフィール

若林さんに会いに行く

多田屋から車で15分

〒926-0806
石川県七尾市一本杉町8

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TEL:
0767-52-3700
営業時間:
09:30~18:00
定休日:
火曜日

http://www.kd-rinya.com/

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