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「北島屋茶店」店主

北林 昌之さん(きたばやし まさゆきさん)

http://kitajimaya.com

昭和8年創業という歴史あるお茶屋さんを切り盛りしつつ、
一本杉通りの町会長として町おこしにも尽力している「北島屋茶店」の店主・北林昌之さん。
この“語り部処”で抹茶を挽かせていただきつつ、
多田健太郎が七尾の歴史や地域の活性化についてお話をうかがいました!

七尾のお茶は「茶道」にあらず?

北島屋さんで人気なのが、石臼を使った「抹茶挽き」体験。実はこれ、よそではなかなかできない珍しい体験なのです。「茶磨(ちゃま)」と呼ばれる石臼の中にお茶の葉を入れ、取っ手を時計と反対方向に回すと、美しい緑色をした抹茶の粉が出てきます。石臼を挽く音は松風にたとえられるほど心地よく、その場でたててくれる抹茶の風味もまた格別。まさに「見てよし、聞いてよし、味わってよし」の三拍子が揃っています。

しかし、なぜこれが“珍しい体験”なのでしょうか。ここには、七尾のお茶文化が深く関わっているのだとか。

「元々、抹茶を挽くというのは京都が発祥なんですが、七尾は戦国時代から続く京文化の土地。時の大名であった畠山義総(よしふさ)が、戦乱の京都から逃れてきた公家や文化人を積極的に保護したことから、小京都と呼ばれるまでに発展したようです。そういった結びつきから、七尾では昔から庶民も抹茶に親しんできたのです」

抹茶というのは『茶道』のものであり、普通は修行を積んだ人のみが触れられるシロモノ。しかし、七尾のお茶文化にはそういう格式張ったところがないので、ふらっと訪れた来客でも抹茶挽きの体験ができるというわけです。

「他の土地でお茶屋がこんなことをやったら、茶道の人に怒られちゃうだろうね(笑)」

敷居が低く、親しみやすい。そんな七尾の抹茶は、「能登はやさしや土までも」の精神と深くつながっていると思います。ぜひ一度、みなさんも体験してみてください。

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逆転の発想!“何もない町”が見つけた観光資源とは?

北林さんのアイデアから生まれた観光の取り組みに、「語り部処(かたりべどころ)」というものがあります。現在では市内全域に広がり、80カ所を越える語り部処が存在七尾が市をあげて行う取り組みにまで成長しています。

突然ですが、「七尾」の由来をご存じでしょうか? 旧七尾城のあった城山には、七つの尾根(松尾、竹尾、梅尾、菊尾、亀尾、竜尾、虎尾)が存在し、これが名前の由来なのだとか。実はこれ、語り部処である北島屋さんで教えていただいたお話。このように、七尾の人間が聞いても勉強になるような歴史や逸話を、お茶をすすりながら気軽に聞かせてくれるのが語り部処の特徴です。

「正直いって、一本杉通りには別段見るべきものはありません。ならば、自分たちが話をするしかない。お茶の間で、同じ目線で、自分たちも楽しみながら話をすれば、きっとお客さんも喜んでくれるはず。そんな発想のもとに、2005年から始めたのがこの語り部処です」

町には何もない。だったら、自分たちを観光資源にしてしまおう──。この“逆転の発想”ともいうべき北林さんの考えは、地域活性の重要なヒントになると思います。「自分たちも楽しみながら」というのもまた欠かせないポイントですね。

「最初は話をするのも慣れてないし、お客さんの質問にもいろいろ調べながら語らせてもらっていたんですが…今ではみんな上達しちゃって、ちょっと話が長くなる傾向にある。そこは反省しながらやっていかないとね(笑)」

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花嫁のれん展、パリへ行く!?

テレビドラマになったり、海外で展示会が行われたりと、能登を代表する文化のひとつである「花嫁のれん」。これは幕末の頃より加賀藩の庶民に伝わる風習で、能登に嫁ぐ女性は、嫁入り道具として持参した花嫁のれんをくぐってから結婚式にのぞみます。花嫁のれんの多くは、伝統ある加賀友禅の手法を用いて仕立てられており、実家の家紋が華やかに染め抜かれた一点モノです。

そんな花嫁のれんを、初めて展示という形で世に出したのが、ここ一本杉通り。毎年ゴールデンウィークの季節に開催される「花嫁のれん展」もすでに8回を数え、今や全国的な人気を誇っています。

「元々は商家の女将さんたちから持ちかけられた企画だったんですが、誰が見に来るのか、初めは正直いって半信半疑でした。でも、予想外にお客が来た。それで、由来を説明したり、実物に触れてもらったりしながら接客をしたんですが、軽率に触らせてしまったことで、後々お叱りを受けることになってね…」

しかし、このお叱りによって花嫁のれんの“重み”を学び、その後のヒントとしてプラスに活かしたのが北林さんのすごいところ。

「宝物だからこそ見る人にとって価値があるわけだし、その重要性をキチンと伝えていきたい。この展示もまた、我々が“語る”ことで育ててきたという自負があります」

今後は海外進出、とりわけ日本の伝統文化に関心の高いパリへの出展を目標にしているのだとか。「パリへ行こうって行ったら、若い連中が急にヤル気を出してね(笑)」と語る北林さんの想いが実現する日も、そう遠くはないと思います。

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奈良の超有名観光地から視察が来た!

歴史的景観に寄与していたり、再現することが難しかったりする築後50年以上の古い建造物を、国として保存しながら活用していこうという「登録有形文化財」の制度。ここ北島屋さんも、「七尾中心地の歴史的景観に欠かせない町家」として文化庁に認定を受けています。

「地域活性の一環で申請しました。ここは観光名所もない町だけど、古い建物が残っている。これを活かすしかないと考えたわけです」

元からあるものを活かす──。花嫁のれん展にも、語り部処にも、このコンセプトは貫かれています。そして、こういった様々な取り組みが実を結び始め、最近では他の自治体から視察される機会も増えています。

「去年、法隆寺がある奈良県の斑鳩(いかるが)町から視察が来ました。年間で約100万人の観光客が訪れる町が、なぜ一本杉通りに? 最初は不思議でなりませんでした」

いわく、お寺などの観光スポットは賑わっていても、斑鳩の町は全然元気にならない。それに対し、一本杉には何もないが、町に元気がある。その理由を学びに来たのだそうです。

「ここでしか味わえない魅力を作ることができれば、また来たいなと思ってくれる観光客も増えるはず。町の人が買いたくなるような商品をキチンと作っていれば、観光客だってそれを買ってくれるわけです。地味な取り組みですが、これでそこそこの経済効果も出ているんですよ(笑)」

住民が楽しく暮らせる町は、観光客にとっても魅力的に映るはず。これは、これからの観光を考える上でとても重要なヒントになると思います。

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北林流・町おこしの秘策。キーワードは“情報共有の徹底化”

「町おこしに取り組んでいく上で一番恐ろしいのは、住民に“他人ごと”と思われてしまうことです。確かに町会が中心になってやっていくことだけど、まわりと温度差があっては、町は活性化されません。こういった問題をどう乗り越えるか。そこが最初の関門でした」

そこで、町会長である北林さんは「情報共有の徹底化」を図ろうと考えました。こまめに住民とコミュニケーションを取り、視察の情報などは回覧板をまわして逐一共有する。こういう積み重ねの結果、住民にもポジティブな変化が生まれたのです。

「住民の間に“見られている”という意識が芽生えたような気がします。まず、観光客を迎え入れるべく、町をキレイにしておこうという意識がかなり高まりました。また、朝顔だったり菊だったり、その季節の花で町を飾ろうという意識も随所に見られるようになりました」

見られているという意識により、自分たちの住む町に誇りを持てるようになる。そして、そんなわが町をもっと見て欲しいという意識が高まり、視察も好意的に受け入れ、イベントなどにも協力的。住民の集まりも活気に満ちあふれ、積極的な意見交換で総会はいつも長丁場になるといいます。

「そして一番うれしかったのが、そんな町の魅力に気づいて、都会に出ていた若者が戻ってきてくれたこと。今後も若い人が集まるような町づくりをしていきたいですね」

そこに住む人々が、町おこしをまさに“自分ごと”として考える。これが地域活性化の秘訣かもしれません。

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一見控え目ですが、七尾の事を語り出すとその熱い思いが止まらない!花嫁のれんなど地元の歴史や文化はもちろん、町づくりや外国人への英語対応までできちゃう、一本杉を代表する語り部の1人です。

多田 健太郎

多田 健太郎
多田屋6代目若旦那

北島屋茶店 映像紹介

北林さんプロフィール

北林昌之さんプロフィール

北林さんに会いに行く

多田屋から車で15分

〒926-0806
石川県七尾市一本杉町54

Google Mapsで見る

TEL:
0767-53-0003
営業時間:
09:00~18:00
定休日:
1月1日、2日

http://kitajimaya.com

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